『ぼちたにさん』

彼が私をからかってつけてたあだ名。

嫌だなって思わなかったわけじゃない。

独りぼっちでいることは、恥ずかしかったし、さみしかった。

でも、それまでクラスで空気みたいだった私が、初めてみんなの目にうつった瞬間でもあったってちょっとしてから気づいた。

小学校の時から、先生でさえも忘れてしまうような存在。

でも、このあだ名を得て、みんなからたとえバカにされる存在になっちゃったとしても

忘れられるよりいい。

「今日もぼちたにさん、ぼっちじゃん。」

って笑われても、例え相手が悪気しかなくても話しかけてくれることが、私はうれしくて。

自分でも暗すぎるなっておかしくなっちゃうけど、そう思うとあだ名も嫌いじゃなかった。

藍田くんに感謝した。