「もう、いいから。」

理奈の声が静かに響いた。

「もとはと言えば、私が愛樹にひどいことしたから罰が当たったんだし。」

いつのまにか愛樹呼びになっている。

まさか、ここが仲良くなるとは思ってなかったな。

そんなことを思いながら、頭をそっとあげて理奈を見る。

「ありがと、謝ってくれて。

あと、章吾。」

名前を呼ばれて反応する。

・・・・パンっ!!!

「・・・・ってえ。」

次の瞬間、理奈が思いっきり俺の頬をたたいた。

ここでぶたれるのは二回目だ。

でも、理奈からぶたれたことで、少し心が軽くなった。

「これでチャラ。」

思わず頬を抑えた俺に理奈は笑う。

「いこ、愛樹。」

理奈は踵を返して、愛樹とそのまま教室をでていった。