愛樹は、ただ首をふるだけだった。

「今日、ぼちたにさんが実はこんなに可愛かったって知って、またなんか腹立ってるし、
ずっと好きだった章吾の横を手に入れてるのにも腹立ってる。

そのぼちたにさんになぐさめられると、なんかみじめじゃない?私。

それに、そんな資格ないじゃん?」

理奈は正直に今の気持ちを言ったんだと思う。

プライドの高い理奈らしくない。

そんな理奈を見て、愛樹はまた理奈を抱きしめた。

「ちょっ!だから、やめてって言ってるじゃん。」

そう言ってまた突飛ばそうとするけど、愛樹はしがみついて、離さなかった。

「嫌です!!私は頑固だから。

矢崎さんをなぐさめたいとか、そういうのじゃなくて、
今のお話を聞いて、矢崎さんが好きになったから、可愛いなって思ったから。

なぐさめとかじゃないです。それに、こんなに強い矢崎さんになぐさめはいらない。」

その言葉を聞いて、理奈は次第に抗うのをやめた。

その代わりにタガが外れたようにまた泣き出した。

愛樹はそんな理奈をまたギューッと抱きしめる。

・・・俺は、ここには不要かな?