「へえ・・・。そういうこと。」

どういうことなのか俺にはわからないけど、理奈は妙に納得したようだ。

「理奈!俺たちのことはいいから。」

「・・・俺"たち"、ねえ。」

理奈はまた視線を外してしまった。

「矢崎さん、元気でしたか?」

愛樹が一歩歩み寄って理奈の顔を覗き込む。

「別に。元気だったけど?」

また強がる理奈。

「そう。・・・ならよかった。」

にっこりと微笑む愛樹に、ぎょっとしたような表情。

「謝って済むことじゃねえけど、あのときは悪かった。

もう学校には来ないのか?」

俺は歩み寄ることなく、一定の距離を保ったまま問いかける。

「私がいてもいなくても、クラスは変わらないでしょ?」

そう言われて、とっさに否定できなかった。

理奈と仲良かった奴ら、理奈が来なくなっても傍目からなら変わりない。

まえだって、ファミレスで相変わらず猫なで声で俺の腕に絡みついていた。

女の友情なんてそんなもんかって、俺だって思った。

「みんな最初だけだったよ。

最初はラインとかくれたけど、もう誰からも連絡こないし。そんなもんよ。」

理奈はまた自嘲した笑みを浮かべる。

「そうか。」

としか言えなかった。