「久しぶりだね、章吾。」

案外、普通?

・・・そう思ったのは一瞬だけ。

指先が震えているのが視界の隅で見える。

「ああ。理奈・・・っ『てか!びっくりしたよ。』

もう一度謝ろうとした俺の言葉を遮るように笑う。

「なにが?」

「章吾は彼女作らないって評判だったし。」

そう言って、理奈は愛樹に目を向ける。

「ふーん。これだけ可愛かったら、章吾の彼女になれるんだ~。」

愛樹から目を離し、また俺と視線を合わせてから自嘲するように鼻をならす。

「矢崎さん!私は藍田くんの彼女じゃありません。それに、可愛くもない。」

「は?なんで私の名前知ってるの?」

理奈は、まさかこいつがあの"ぼちたに"だとは思っていない。

心底不気味そうに愛樹に目を向ける。

「あ、私、市谷です。クラスメイトの市谷 愛樹です。」

「市谷って・・・・え?!あの、ぼちたにさん?」

思いっきりびっくりした後、意外そうに俺と愛樹を見る。