しばらくの沈黙。

理奈は、俺たちの方を見ることもなく、だからと言って避けるようにどこかへ行ってしまうような雰囲気でもない。

「理奈。」

もう一度、理奈を呼ぶ。

俺が理奈になにかを言える立場じゃないのはわかってるし、理奈だって俺の顔なんて見たくないと思う。

でも、理奈は俺に呼ばれて顔をあげた。

こいつは、もともとそこまで悪い奴じゃないこと、俺は知ってる。

普通に友達付き合いはしてきたわけだし。

クラスが一緒になって、違う女子伝いに一緒に遊んだりして普通に仲良い女友達の一人だった。

でも、理奈が割と早い段階から俺に気があったのも知ってる。

けどその気持ちは、本当に恋なのか?

派手めなグループの中心的な存在で、俺みたいな男を彼氏にすることで博がつく、そういう意味の好きなんじゃないのか?

実際、愛樹に罵声を浴びせていたあの内容が、その証明のような気がする。

悪い奴じゃない、けど・・・。

って、やっぱり俺がこんなこと思う資格はないけどさ。