愛樹が、ふいに立ち止まる。

「どした?」

俺も立ち止まって、愛樹をのぞき込む。

「・・・矢崎さん?」

え・・・。

矢崎って・・・まさか。

バッと愛樹の視線の方向を見ると

数人の柄の悪い男たちと楽しそうに笑いあっている、理奈がいた。

「理奈・・・・。」

愛樹を傷つけ、俺に傷つけられた理奈。

俺が不登校へ追いやったも同然。

後悔している。愛樹のためだと思ってやったことだけど、やりすぎだったかなって。

理奈を許してはいないけど、俺も理奈と同様にひどい奴だ。

俺が理奈をどうこう言うことはできないってわかっている。

じっと見つめる俺ら二人の視線に、理奈が気づいた。

俺と視線があって、びっくりしたように目を見開いている。