「そうじゃないけどっ。」

そんな強く否定しないでよ・・・。

自分でからかったくせに、落ち込んで。俺ってバカだ。

「なら教えない。」

また意地を張る。

「え!」

小さく愛樹の口から洩れた、残念そうな言葉。

そして、そのままムッと唇を尖らせる。

「・・・・気に、なります。」

もっと小さな声で、か細い声で。

「気になる、から・・・教えてほしいです。」

愛樹の言葉一つ一つに、一喜一憂するのは今に始まったことじゃない。

それでも、うれしくなるし、口元が緩む。

満足感を得られる。

「よくできました♪」

自分でもわかるほど上機嫌。思わず愛樹の頭に延びる左手。

ぽんぽんっと撫でると少し笑う愛樹が愛おしい。

やっぱり、今のままなんて嫌だ。もっと先に進みたい。

愛樹の、彼氏になりたい。