「へ!?」
ふいに口からもれた言葉を咄嗟に手で塞ごうとしたけど、
漏れてしまったものは戻らない。
ばっちり愛樹にも聞こえたみたいで、顔をあげた大きな目と目があった。
一瞬だけ目が合ったけど、俺が反射的にそらしたから、もう愛樹の表情はわからない。
てか、なに言ってんだ俺!!!
恥ずかしすぎるだろ。
「てか!!なんで!?」
つっこまれる前に、話題をそらそう。そして、理由が知りたい。
淡い期待が生まれている。
俺とのデートだから、おしゃれしてくれたのかな、とか。
愛樹も、俺みたいにはしゃいだりしてくれたのかな、とか。
都合のいい考えで、今頭がいっぱいだ。
「なんでって?」
「だーかーらー、なんでそんな格好してきてんの?
いつもの眼鏡は?もっさりは?
今日どうしたわけ?」
恥ずかしさを紛らわすように、せっかくワックスでセットした髪をわさわさと乱して、一旦落ち着いて愛樹を見た。
・・・だめだ、可愛い。


