しばらく見つめあっていた。
時間はわからないけど、でも俺はずっとこのままでいたいって思った。
沈黙を破ったのは市谷。
「男の人に、名前で呼ばれたの初めてだから。」
「和樹は?」
「お兄ちゃんは、別。
うーん、というか、藍田くんが別、かな。」
和樹は別、よりも俺が別、の方がなんかいい。
気分が上がる。
「なんで?」
もっと聞きたい。
「なんでって、まず家族以外だし
それに、藍田くんは・・・」
そこまで言ってちらっと俺を見る。
俺がじっと見つめていたのが予想外だったのか、びっくりして、俺と視線を通じ合わせたまま固まった。
市谷の瞳、少し茶色がかった綺麗な色。
俺の大好きな色。


