市谷は椅子からおりて、そのまま床に膝をつく。
どうしたんだ・・・?
俺と同じ目の高さになって、一度俺の方を見た後、顔を伏せてしまった。
両手で顔を隠すように覆っている。
「え、どしたの?」
プルプルと首を振る。
これこそ、答えになってないんだけど。
「愛樹?」
とりあえず、拒否はまだされてないので呼ぶ。
反応はない。
「おーい。愛樹?あーず?」
心なしか、俺が名前を呼ぶ毎に相手は顔をもっと伏せていってる気がする。
なんか楽しくなってきて、そしてなにより名前をもっと呼びたくて
何度も"愛樹"と呼びかけた。


