「俺が?」
少し意地悪な気分だ。
ニヤッと笑うと、市谷はちょっとむっとしたように、でも相変わらず真っ赤な顔で俺を見つめる。
その表情はだめだって。
俺まで赤くなるだろ。
やばそうなので、一回落ち着こう。
そう、今日は市谷に振り回されず、俺が操るんだから。
右手を退散させて、視線も一度そらす。
・・・よし。
いける、大丈夫だ。
もう一度、市谷の方を向いて、にこっと笑ってみせる。
「・・・あーず。」
彼女の名前。
名前負けなんて、そんなことあるわけない。
こんなに可愛い彼女に、ぴったりじゃんか。
愛の樹。愛樹。
愛らしくて仕方ない、キミにぴったり。


