「とにかく、攻めるしかないと思うけど。

ぼちたにって恋愛に関して疎そうだし、章吾の言う通り今のままじゃ無理なら、行動起こして気持ち向けさせるしかないだろ。」

「それはわかってるけど。

その具体的方法は?」

「はあ?俺に頼りすぎだろ。自分でちょっとは考えろって。

今日、勉強会なんだろ?ちょっと考えて動いてみれば?」

考えて、か・・・。

「ヒントを与えると、相手の行動を操る感覚でやればいいんだよ。」

市谷を操る!?

絶対無理だ・・・

だっていっつも、どっちかというと、俺が市谷の笑顔とかしぐさとか、一つ一つに心臓を動かされて操られている。

「無理、とか言うなよ。」

俺の心を読んだかのように、玲二が釘をさしてくる。

「・・・わかった。」

「そうだ。好きな女が、自分の手で赤くなったら、この上なく可愛いぞ。」

・・・ああ、一度だけあるな。

あのとき。

どうしようもなくて、市谷をこの腕に抱きしめたとき、

確かに、可愛かった、マジで。