ぼっちな彼女に溺愛中

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それから、和樹と若菜さんと別れて、俺は市谷を送っていくことにした。

なぜか、玲二もついてきて。

「なんかごめんね。いろいろと。」

「あーいや、俺の方こそ。」

危なかった。もう少しで、和樹に理不尽な怒りをぶつけるところだった。

「でも、どうしてお兄ちゃんと一緒にいたの?何か用があったの?」

市谷は一点の曇りもない瞳で俺を見上げてくる。

・・・言えない。勝手に勘違いした挙句、関係もないのに勝手に首を突っ込んで、

とても言えない。

「いや、まあ・・・見かけたから挨拶、とか、ね。」

玲二は、何を考えているのかちょっと後ろからついてくるだけで、さっきからなにもしゃべらない。

玲二ならいきなり走り出した俺のことを知ってるだろうけど、言わないでいてくれてラッキーだ。

「そうなんだ?ふふっ藍田くんって律儀なんだね。」

市谷がすぐ人を信じる子で良かった。

俺はそれに苦笑いを向けることしかできない。

・・・でも、本当によかった。

市谷の彼氏じゃなかった・・・・。

さっきは、いろいろあって噛みしめる機会を逃したけど。

俺の心を覆っていた雲は、薄くなるどころかすっきりと晴れた。

ああ、よかった・・・市谷が誰かのものじゃなくて。

あ、でも一応聞いとこう。

「あのさ、市谷。」

「ん?」

見上げる眼鏡の奥の茶色の瞳に、ドキッとする。

なんだか久しぶりの感覚だ。