ぼっちな彼女に溺愛中

「私?私は、御柳 若菜(みやなぎ わかな)。」

名前を知りたいんじゃない。

「えっと・・・和樹、さんとのご関係は?」

聞いていいのか迷ったけれど。ここには市谷もいる。

でも、市谷も特に動揺している様子もない。

「あれ?わからない?恋人だけど。」

・・・やっぱり。

チラリと市谷の様子を伺うと、目があう。

市谷はとくにショックを受けている様子もなくて、驚いている様子もない。

「市谷、知ってたの?」

「あ、うん。知ってたよ。昔から、若菜ちゃんのことは知ってるから。幼馴染なの。」

にこっと笑う。

幼馴染で、恋人。それだけ聞くと、特に珍しいことはない。

けど、その恋人の片方が自分の彼氏・・・いや待て。

もしかして、彼氏じゃないのか?

いやでもファーストキスって・・・・。まさか元カレ?とか。

だって、今も付き合ってるならこの状況で、市谷のこの反応はおかしい。辻褄が合わない。

彼氏じゃない説が濃厚になってきて、俺の心にかかっていた雲が薄くなっていくのがわかる。

そして、市谷はつづけた。


「それで、お兄ちゃんの彼女だよ!」