ぼっちな彼女に溺愛中

え!?

いきなり、浮気相手がこちらに寄ってきて玲二の頭をはたいた。

予想外すぎる展開に玲二も俺も目が点。

市谷は余計に慌てている。和樹は笑いをこらえるように俯き肩を震わせている。

「あんた、初対面の相手に向かって『だれ』とはなに?失礼ね。」

そのまま手を下ろさず腕を組み、俺たちをにらんでいる。

なんなんだこの女・・・。

「あ~!駄目だよ、若菜ちゃん!!」

わかな・・・?

「神谷くん、ごめんなさい!大丈夫?」

市谷は女の代わりに謝って・・・もう訳がわからない。

この状況はなんなんだ。

「いや、あ、うん。俺こそ、すいません。」

玲二は頭を押さえながら軽く頭を下げる。

「わかればいいの。」

若菜とかいう女はフゥーと息をついてニコッと笑う。

俺の頭の中は大パニックだ。

この状況、何が起こっているのか全然わからない。修羅場なはずなのに、ちがうよな。

「えっと・・・すいません。俺全然わからないんですけど。」

若菜とかいう女はおそらく年上。

でもそんなことは関係なく、状況を整理しようと、無意識に出た言葉は敬語だった。

「あの、あなたは?」

そう一番の謎はここだ。

この人、一体何者なんだ・・・?