ぼっちな彼女に溺愛中


しばらく、女子と玲二の特に意味もないだべりを右から左へ受け流しながら、外を見ていた俺は、一点で視線をストップさせた。

・・・あれは。

「どしたの章吾?・・・あれ?ぼちたにさんじゃん!」

「え、どこどこ?あ、ほんとだー!!って・・・一緒にいるの和樹じゃない!?」

「うっそ!!どこ!?うわ、マジ?うらやまーっ!」

なんでよりによって・・・。最悪だ。

市谷のことを忘れたくて来たのに。そこで会うなんて。

しかも、和樹と一緒なんて・・・。

二人は、当たり前だけで店の中から見ている俺たちには気づかず歩いていく。

「あの二人仲良すぎじゃね?」

笑いながら言う玲二を軽くにらむ。

おまえ、昼休み俺の応援しといて、なに言ってんだよ。とか理不尽なことを思う。

「わかるー!てか、和樹がぼちたにさん好きすぎ!まじ、なんで?って感じ。」

キャハハと笑う女子らにも腹が立つ。

俺の前で市谷と和樹の話してんじゃねーよ。あと、なんで?ってどういうことだよ。

あー、まじムカつく。

でも、一番ムカつくのは、こんな腸煮えくり返ってるのに、二人が気になってずっと見ている自分。