「そうですそうです!私、その話気になってたの!おばあさん、話して話して!」


飲んでいた麦茶の入ったコップをテーブルにゴンッと置き、詩織ちゃんが興奮気味に言った


初めての田舎で、気が昂ぶってるんだろうな…

こんなにテンション高い詩織ちゃん、初めて見た…

しかし、ばあちゃんは気が進まなそうな顔をする



「その話かい?他の話じゃダメかねぇ…
他にも色々昔話はあるんだよお?」

「そんな、ばあちゃん!電話でいいって言ってたじゃないか、どうして?」


せっかくここまで来たんだから、どうせなら聞きたいよ



しかし、ばあちゃんは

「うーん…」

と目線を逸らす


「おばあさん、私聞きたいよ!」

詩織ちゃんも追い打ちをかけるが……


「………………しょうがないねぇ…」

ついに、ばあちゃんが折れた


やった!

僕と詩織ちゃんは、ばあちゃんを見つめる


ドキドキしながら、ばあちゃんの言葉を待つ








「あたしの気が向いたらね!」



ガクッ!


僕と詩織ちゃんが同時にずっこける

あんだけもったいぶってそれかよ!!!



「ば、ばあちゃん…ッ!」

「大丈夫、あんたらが帰る前までにはちゃんと話してあげるよ
そんなに気を急かさなくてもせっかくの夏休みだ、
ちょっとそこらへんを散歩して来なさいな!

いい体験になると思うよ」