「ばあちゃん、電話で言った、夏休みの宿題の話、覚えてるよね?」

ばあちゃんが出してくれた冷たい麦茶を飲み、落ち着いたところで話を切り出した


「地方に伝わる、昔話ってやつかい?」


そう、僕と詩織ちゃんは地方に伝わる昔話というのをテーマに、調べ学習をしている


それぞれ、二人一組のグループをつくり、テーマを決めて調べ、発表する


"地方"という題材をもとにテーマを決めるのだが…


かつて、ばあちゃんが話してくれた"昔話"が思い浮かんだ

僕が小さい時だったからか、全然覚えてない


ただ、覚えているのは

『姫様が泣いてしまうから、ケガをしたり病気にかかっちゃいけないよ』


そう言って、顔を歪めて怖い顔をしたばあちゃん


それだけだった


ばあちゃん家に行くことが随分なくなってしまっていたけど
ばあちゃんから、久しぶりに家に来いという電話がきた

いい機会だと思い、ばあちゃんの家に行くついでにその昔話を聞いてみようと思ったのだ



その話をしたら、詩織ちゃんも行きたがった

詩織ちゃんのお母さんと僕のお母さんは仲がよかったので、お母さんに頼んでみたら快諾されてしまった


…詩織ちゃんと一緒にいれるのは嬉しいけど、ちょっと緊張していた



まぁ、詩織ちゃんがあの調子だったから、僕の緊張なんて無駄以外のなんでもなかったけど