当てもなく走ったせいか、暗くて全然前が見えないせいか
さっきから聞こえるのは自分の足音と、時折ふく風に揺られた草木がこすれ合う音
…ぶっちゃけ怖いなぁ…
息もだいぶきれてきた
だけど、詩織ちゃんが心配でたまらない
草を踏み散らす音から、舗装された道ではないことは物語ってる
しかし
運動があまり得意でない僕だ
足がもつれ、思いっきりずっこてしまった
「わっ」
口から悲鳴が上がると同時に、妙な浮遊感に襲われる
え?
え?
倒れるはずの自分の体が、地に手を着くべく伸ばした手が、
虚しく宙を掴んだ
が、次の瞬間
頭に何かが激突する
ガンッ!!
「いっっっ!!!!」
衝撃が走ると共に、ゴロゴロと坂らしき道を転がり落ちていく
「うがっ!ちょ、わ、わ、わ」
草や砂が口に入って気持ち悪い!
中々長い坂で、結構急だ
ドッテーン!
「ふがっ!」
情けない悲鳴が口から漏れた
でも、ようやく止まった
さっきまで草が生い茂っていたのに、転がり落ちた場所はコンクリートで舗装された道みたいだ
体のあちこちが痛い
でも、舗装されているってことは民家があるかもしれない
詩織ちゃんを探そうにも、見知らぬ土地では圧倒的に不利だ
きっと詩織ちゃんが虫かなんかに驚いたんだと信じよう
とりあえず、立ち上がろうと足に力をいれるが…
ズキッ
「いっーーー!!」
右足に激痛が走った
転げ落ちた時にひねったのかな?
こんな時に…
痛む箇所に触れてみると、熱を持っている
歩くのは正直無理そうだ
「あー…もう……
ついてないなぁ…」

