生贄姫



「え??」



なんだって?!




「俺、お前が聞いてきた時、知らないなんて嘘ついたけど、ほんとは知ってたんだ」



「なんで?!」



まさか俊ちゃんが知ってたとは


でも、なんで嘘なんてつくんだ?


ばあちゃんといい、俊ちゃんといい、どうしてその昔話を話すのためらうんだ?




もしかして、僕の探している昔話は



なにかあるのか?








俊ちゃんは、懐中電灯を僕に向けて僕の顔を照らした



まぶしい




思わず目を細め、うっすら見える俊ちゃんの顔を凝視する





俊ちゃんは少し口を開き、ためらうように何かを言おうとしたが、すぐに口を閉じ、ため息をついた






そして…






「実は『きゃあああああああああっ!!!!!!!!』




俊ちゃんの声を遮って、甲高い悲鳴が聞こえた




女の子の声だ





しかも




「詩織ちゃんだ!!」





悲鳴はかなり向こうの方から聞こえた




何かあったのか!?




詩織ちゃんがこんな大声で叫ぶなんて!




僕は走り出した






「あっ!オイ!!」





俊ちゃんの静止の声が聞こえたが、それどころじゃない





何度か墓につまずきそうになりながら、悲鳴の聞こえた方角に走る





詩織ちゃん!!!