なんだかんだいっても、僕だって久しぶりの白神町だ
詩織ちゃんにならって、僕も深呼吸してみる
スゥーーー……
あー、確かに。
「空気、うめぇなぁ…」
空気に味なんてないだろうし、そんなことを気にしたことなんてなかったけど…
都会と違って淀んだもののない清浄な空気というのは、確かに、"おいしい"。
僕の言葉に、詩織ちゃんがパッと顔を輝かせる。
…もともと輝いてたけど。
「ね!私、この空気でご飯三杯いけちゃうよ!」
「君、そんなに食べるの?」
太るよ?
「ものの例えだよ!」
あ、そっか
僕の反応に、詩織ちゃんがムスッとする。
いや、僕だってまさか詩織ちゃんがご飯三杯も食べれるとか思ってないからね?

