ついに僕と俊ちゃんの番がきた。

ペアにはそれぞれ懐中電灯が一つ配られている



俊ちゃんが懐中電灯を持ち、歩き始めた


僕は俊ちゃんの一歩後ろを歩き、俊ちゃんの背中を追う。

街灯は一つもない
月も雲に隠れてしまった
真っ暗だ


小さな懐中電灯一つの明かりは実に心許なく、俊ちゃんの足元を照らしているだけだった



僕はただひたすらに俊ちゃんらしき蠢く影を追い続ける




ジャリジャリ…




無言。





地を踏みしめる音だけが辺りに響き、さっきまで陽気にしゃべっていた俊ちゃんは一向にしゃべらず進むだけだ



さては、僕を怖がらせようとしているのかな?



俊ちゃんのことだ、僕を怖がらせて後で笑うつもりだ

そうに違いない!




公民館の明かりはすっかり見えなくなり、どこを向いても無限につづく闇




さすがに沈黙は耐えがたかったから、俊ちゃんに声をかけてみることにした



ジャリジャリ…



「真っ暗だねー」


ジャリジャリ…


「ああ」


ジャリジャリ…


「俊ちゃん、道間違えないでよね?」


ジャリジャリ…


「ああ」



…どうしてだろう

俊ちゃんの返事がそっけない


なんだよ…

「ねぇ、俊ちゃん…」


「………」



俊ちゃんはもくもくと歩き続ける


まるで、僕がいることをわすれてしまったかのように



僕は不安になって、俊ちゃんの肩をつかもうとした



しかし






あれ?





僕ら、どのくらい歩いた?




十数分で神社に着くって、言ってたよな?



十数分なんてとっくにすぎてるんじゃないか?





なんで俊ちゃんは、こんなに歩き続けているの?




どこに、向かってるの?