うーん、と考えているとインターフォンが鳴り響いた
「お、お前のばあさんじゃねぇか?」
三人で玄関に向かうと、案の定、ばあちゃんだった
「カナタ、詩織ちゃん!
心配したよ!
……俊太君、ありがとうねぇ
ゴメンね、迷惑かけちゃって」
「…いえ、久しぶりにカナタに会えて良かったですし。」
…何だろう
ばあちゃんと俊ちゃんの会話に、違和感を感じてしまう
ばあちゃんの印象は、快活で、誰にでも気さくに話せる、という印象がある
あくまで印象だけど、初対面の詩織ちゃんの対応からそれらしい感じが伺えた
俊ちゃんも、元気で明るい子だった
今はどうかわからないけど、多分変わってないと思う
二人は同じ町に住んでいるんだし、こんな小さな町なんだから面識は少なからずあるはず
なのに、何だろう…
なんか
二人とも、ぎこちない
「さ、カナタ、詩織ちゃん。
帰りましょう
俊太君、本当にありがとうね
カナタは一週間この町にいるらしいから、また遊んでやってちょうだい」
「そうですね。
あぁ、明日、この地区できもだめしがあるんですよ
カナタと詩織を、借りてもいいですかね?」
え
涼しい顔でばあちゃんに問う俊ちゃん。
ばあちゃんは少し考えるそぶりを見せ、すぐに
「そうだねぇ、せっかくだし参加させてもらいなさい、カナタ、詩織ちゃん」
何ぃぃぃ?!
俊ちゃん、なかなか卑怯な手を使う…!
詩織ちゃんは固まっている
ばあちゃんの承諾を得てしまった今、僕と詩織ちゃんは明日のきもだめしに参加しなければならないみたいだ
ちょっと怖いなぁ…
でも、あんまり言うと情けなくみえるし、しょうがない!
僕らは俊ちゃんに別れを告げ、ばあちゃんの軽トラに乗りこんだ
僕はもちろん荷台。
辺りも暗くなってて、もうほとんど夜の闇だ
さっきの神社のことを思い出し、一人で荷台に乗って行くのが怖くなってきた
ばあちゃんが運転席に乗りこみ、詩織ちゃんも助手席に乗ろうとドアに手をかけた
しかし、手をかけたまま動きを止め、少し考えこんだと思ったら、ドアから手を離し、荷台によじ登ってきた
「詩織ちゃん?」
「私も、ここにいる」
ちょこん、と僕の隣に座りこみ、運転席のばあちゃんに
「私も荷台でいいです!」
と言って僕の方へ振り返る
「一人になると、怖いよね」
と笑いかけた
心を見透かされてたのか…
詩織ちゃんの優しさがジーンと胸にしみる
軽トラが動きだした
冷たい夜風が顔にあたる
寒っ
昼間は都会に比べれば涼しいが暑かったのに、夜は随分と冷えるんだな
ふと、隣に座っている詩織ちゃんが口を開く
「来て早々、色んなことがあったね」
「うん…」
「ねぇ、後であの神社のこと、おばあさんに聞いてみない?」
うーん………
「そんなに、気にしない方がいいんじゃないかな…」
あまり関わりたくないしね
「でも、なんか気になるじゃない!
それに…
気づいた?
俊太君と神社出会った時…
俊太君が雑木林を抜けてきたでしょ?
あの雑木林の草むら、人が通った後みたいのがあったわ
それも、結構草が倒れてて…
俊太君、人なんて全然来ないなんて言ってたけど、そんなことないはずよ
草なんてすぐ伸びちゃうから、あの草の倒れ方は新しいと思う
それに…
俊太君、すごく慣れた感じで雑木林を抜けて行ったよ」

