俊ちゃんは居間に案内してくれ、麦茶を僕と詩織ちゃんに出してくれる


一口飲むと、自分がノドを渇かしていたことにようやく気づき、一気に飲み干してしまう


詩織ちゃんの麦茶をチラと見ると、やはり詩織ちゃんの麦茶のコップは空っぽだ


僕らと違って俊ちゃんはチビチビ麦茶を飲みながら、思い出したように言った


「そういや、お前ら何日この町にいんの?」

「一週間よ」

「じゃあ、明日の夜、暇か?」

「何?なんかあるの??」

詩織ちゃんが首を傾げる

俊ちゃんは大きくうなずき、

「明日の夜に地区のきもだめしをやるんだよ
この地区、あんま人数いねーから他の地区のヤツらから引っ張ってきたりしたんだけど、今年は今まで以上に少なくてな

あ、もちろん小中学生限定でな
お前ら、暇なら来いよ
歓迎するぜ」


きもだめしかぁ…

「詩織ちゃん、どうする?」

「わ、私はちょっと……」

あの神社と石灯籠の後だ

無理もない


というか、僕も本当に何か出そうで怖いから嫌だ


でも、久しぶりの俊ちゃんの誘いだしな…

ちょっと迷う


「何だよ、詩織はともかくカナタもビビってんのかよ?
情けねえーな、男だろ!
それに、そんなビビんなくてもただ夜道を歩いて神社に行ってお参りするだけだし、小学1年生のガキでもできるぞ」

「「え!?神社??!!」」

また詩織ちゃんとハモる

神社!?

あの神社?!

確かにきもだめしにはピッタリだよ?

けど、なおさら嫌だよ!!!


「あー、違う違う
そっちじゃなくて。
ふつーにまともな神社だ
あの人形だらけの神社とは逆方向にあるから安心しろ」

「そ、そうなのか」

…そうだよね、あんな気味悪い神社できもだめしとか、小学1年生の子どもができるなら、どんだけこの町の小学生肝すわってるんだって話だよね


それでも、戸惑うところがある

情けねえーなと言われたのは悔しいけど、それよりも怖さの方が勝ってる


「うーん………」

どうしよう