詩織ちゃんの承諾を受け、観光客らしき人たちについて行く


ちょっとした坂道で、石がゴツゴツしているがたいしたことはない

木が生い茂っているから、日の当たるところがあまりない



片側は岩盤、片側は崖

崖側はロープがはってあり、崖の下の方は森みたいだ


「こわ…、詩織ちゃん、大丈夫?」

「大丈夫!
確かに、結構高いよね…」


道自体は結構広いから、落ちるなんてことはまずないだろーな


「あれ、カナタ君、あれ何だろう?」

詩織ちゃんが崖側を指さす


崖側の、崖ギリギリのところに、石碑のようなものがあった

「何だろう??何か書いてあるけど…」

詩織ちゃんが駆け寄り、僕もついていく


大分古いようで、あちこちにヒビが入っている

「えーと、
ひ、姫君の……
読めないよ!!」

僕も石碑を覗き込む


大分文字の部分が傷んでいて、読めたもんじゃない


かろうじて、最初の文の

姫君ノ

という部分だけ読める



石碑自体小さいので、文も短いようだが…


姫君?

その言葉が、僕の心にひっかかる


何だろうと首を傾げてみるが、思い当たらない


ま、いっか

それより、早くしないと夕方になっちゃうし

「詩織ちゃん、行こう!」

「うん…」

詩織ちゃんはまだ諦めきれないようで、石碑に何度も振り返ったりしながらも、道を登っていく


道もそんなに長くなく、10分くらい歩いていると…



「わーーーー!!!!!すごい!!!!
!!」

「すっげー…」



絶景

かなり開けた場所に出たと思ったら、崖の方には、白神町を一望できる絶景がある


森の緑との見事に合っていて、すごく綺麗だ


カメラ、持ってくればよかったな…