つ、疲れた
僕らはかなり歩いた
気さくな地元の人たちとおしゃべりをしたり、白神町の観光名所とも言える白登川なんかを人に道を尋ねて見に行ったり…
暑かった日照りも、随分柔らかくなり、空気もひんやりしてきた
空も夕日で赤らんできている
「今、何時くらいだろう?」
「うーんと、5時半くらいかな
そろそろ帰らなきゃね」
詩織ちゃんが腕時計を見ながら言う
僕も疲れたし、ばあちゃんが夕方には帰って来いって言ってたし、帰りたい
ただ…
「詩織ちゃん、道……覚えてたり、する?」
「あはは、やだなぁ、カナタ君
私が覚えてる訳ないでしょ!」
「はは、そっかぁ!」
あははははははっ
…………………どうしよう………
ほんと、なんとなーく色んなとこ歩き回ってきたからなぁ
しかもばあちゃん家は山の方
あー、困ったなあ…
「人に聞くしかないか」
「だね。でも、あのさ…」
詩織ちゃんが言いづらそうに口を閉じる
言いたいことはわかるよ、詩織ちゃん
民家が、見当たらないよねぇ…!
「こ、ここ、どこだろうね」
マジでどこだろうね
川に来た時まではよかった
冷たくて綺麗な川水に、足をつけたり、詩織ちゃんと水でバシャバシャ遊んで楽しんでいたのは大いに結構だ
その後だ…
♢♢♢♢♢
川は観光名所なだけあって、人は結構いた
そーゆー人たちのために、小さな店などがあり、僕と詩織ちゃんはラムネを買って飲んでいた時…
「あ、なんか人があっちにいっぱいいるよ?」と詩織ちゃんが店の裏の方を指した
店の裏には山がある
観光客らしき人たちが、山を登る道を談笑しながら登って行っている
サンダルでいる人がいるくらいだし、ハイキングコースとかかいてある看板とかあるから、なにか観光できるものでもあるのかな?
道もかなり整備されている
「詩織ちゃん、行ってみない?」
「行きたい行きたい!」

