そう言ってばあちゃんは、追い払うように僕と詩織ちゃんの背を押して、外に出した


「ばあちゃん!僕、全然道とかわかんないよ!?」

「大丈夫
町の人に聞けば教えてくれるから
いざとなったら迎えに行くよ」


ピシャンッ

ばあちゃんは引き戸を閉めてしまった


どうしよう…


「カナタ君、せっかくだから散歩しようよ
私も、町を見てみたいし!」

「そう?詩織ちゃんがそういうなら…」


ほんと、道とか全然わかんないけど

でも、かすかだけど、かすかに記憶にあるかもしれない


とりあえず、僕と詩織ちゃんは、ばあちゃん家から繋がる砂利道を下って行く

さっき車で来た時は、山道と舗装された道を上ってきた

その道とは反対方向にある、砂利道


車で来た時の道は木ばっかで、民家があまり見当たらなかったが
この砂利道の方は、最初こそ木ばっかだったが、だんだん開けてきて、民家がチラホラ見えてくる



「おばあさんの家は、かなり奥の方だったみたいだね」

詩織ちゃんの言うとおり、結構下ってきて、とうとう、町と呼べるような所に着いた


町と言っても、道路は広い所で二車線だし、畑や田んぼばっかり

農作業するおじいさんおばあさんを幾度も見かけた

アパートとかマンションなんてないし、大きな建物が全体的に少ない印象


「なんか、落ち着くね!
おばあさんの言ってた通り、いい体験になる〜!!」

詩織ちゃんが満面の笑みを浮かべる

あー、来てよかったな

いい体験、というかすごく新鮮な気持ちになるし、なにより

詩織ちゃんの喜ぶ顔が見れた


可愛いな…

ばあちゃん、ありがと…!