「良いのか?」


「何が?」


「華蝶なんて動かしちまって。」


確かにここに華蝶が加わればもちろん人数的にも優勢にはなる。


すると飯草は呆れた様な顔をして俺に言った。


「連れ去られたのは煌龍の姫。でも、その姫は華蝶を束ねる総長でもあるのよ?そこに加わらない理由なんてあるわけ無いでしょ?」


その言葉で俺は気づいた。


杏が華蝶を束ねていることを。


なら、目的は煌龍自体なんじゃなくて俺なんだということを。


そしてそれが杏にとっての腹いせであるということを。