そしてしばらくして落ち着きを取り戻した飯草。


「さっきは取り乱してごめんなさい。」


そう言って俺らに頭を下げた。


「それよりも、神鬼って?」


昂輝は珍しく何よりも先に確信を掴みたいらしい。


飯草はそれに1度頷くと過去のあの時の記憶だけを話した。


最愛の姉とその恋人がなくなった日。


あの時に攻めてきた族が神鬼だったこと。


そして杏が我を失うまでになっていたこと。


それを思い出すかのように話していた。


聞き終わった後はしばらく誰も口を開こうとはしなかった。