「そう言えば、あたし達誰かに後をつけられていて、走ろうとしたらいきなり何かを嗅がされて、気づいたらこの状態だったの。杏もたぶん同じ!」
そう言って辺りを見回すがやっぱり杏の姿はない。
たぶん連れ去られたか。
族同士で姫を人質に取るのは少なくはなかった。
たが、杏が舞蝶だからって油断しすぎたか。
とりあえず俺たちは飯草を連れて倉庫へ戻った。
倉庫へ戻って幹部室へ入れば謙吾たちはやっぱり驚いていた。
「なんや、杏ちゃんだけおらへんやんか。」
その異様な空気に気づいたのか昂輝がそっと口を開いた。
「やられたのか…」
「あぁ…」

