「お前、今どこにいんだよ?」 「今起きたから、家です…」 「さっさと出てこい。」 「はい。」 それだけの単純な会話。 でも、杏が何もないと分かったことにホッとしている自分がいることに気づいた。 大切だからこそ失うのが怖い。 俺はふと杏が話した過去のことを思い出した。 自分の前で大切な人が消えていくことを味わった杏。 それがどれほど苦しく杏を縛り付けていたのか… 今の俺には何ができるのか…