視界にうつっているのは、もはや青と呼べる領域をすぎた深海。
コポコポと小さな泡が見えるのは、自分の息なのか。

精神は虚ろで、もはや、息の出来ない苦しみも慣れてきていた。
いや、慣れたというよりも。

感じることが出来ないだけ。

このまま、この海の深くで。

死んでいくのだろうか。

死にたくないわけじゃ、無い。

生きたいわけでも、無い。

愛する海で死ねるなら、本望だと思う。


だから、船が沈んだ時。
私は絶望より、喜びが多かった。

海に近づける。

海の一つとなってしまえる。





私は、魚に生まれたかった。