「結衣さん。」



「なに」




「結衣さんって頭いいんすか?」




「‥‥は?」




いつもの朝。

いつもの朝食の席で、洵は突拍子もなくそんなことを言った。





「‥‥どういう意味よ。」


‥‥‥このクソガキ‥‥私の偏差値にまで文句つける気?;



私は嫌な目つきで洵を見下ろす。





「‥‥‥‥いや‥‥結衣さんって、教職とってるじゃないですか?なんの先生になるんすか?」



いきなり話が変わる;



私は、疑いの目を洵に向けながら言った。



「‥‥いちお、なるとしたら数学の先生だけど」




「まぢで!!!」


‥‥‥突然、態度が変わる洵‥;



‥何たくらんでるわけ?;




‥ガタン!!


いきなり洵は立ち上がり、無駄に熱い手で私の両手をつかんだ‥‥‥




「結衣さん!」



「は、はい‥」


真っ正面から洵にガン見され、私は完全にビビり、思わず後ずさる。





「俺に‥‥俺に教えてください!!




 勉強!

 勉強!!

 特に数学!!数学!」



今にも飛び掛かってきそうな勢いで、洵は言う‥‥。






‥‥勉強‥‥?



「‥‥い、いーけど別に‥」



「まぢっすかッ!!あーざーすっ*」




今度は、抱き着いてきそうな雰囲気の洵‥


私は条件反射で、バッと逃げた。