彼の口癖。


「俺、長く生きられない気がする」


それを聞くたび、私は何故だか泣き出したいほど不安になって、心臓がキュウキュウと悲鳴を上げて、苦しく切なく締め上げる。



そんな切ない悲鳴を隠しながら


「何言ってんの。
そんなこと言ってたら風香さん、ないちゃうよ??」


私は彼をたしなめる。



「うーん…。」

「おばあちゃんに言われない?
悪い言葉は言っちゃいけない、って。そんなこと言ってたら本当にそうなっちゃうよ!!?」




言葉は言霊。
言葉は強い力を持つと聞く。


だから、そんなこと言ってたら嘘が本当になってしまいそうで怖くって。


彼がいなくなってしまったらどうしよう、頭の中はそればかり。



無言で海を見つめて
何処か遠くに思いを馳せるあっちゃんを見ていたら、本当に怖くって。


怖くて怖くてたまらなくなって



「嘘でもそんなこと言わないで。」

「え??」

「あっちゃんが死んじゃったら…私が困る。」



気づいたら私はこんなセリフを口にしていた。