それを“うれしい”と思ってしまった私は浅ましいんだろうか。


風香さんがいい人なのは私が一番よく知っている。優しくて、美しくて、そして賢い、とても魅力的な女性。それが……風香さん。


魅力的な内面を持つあっちゃんの隣が似合う、風香さん。風香さんとあっちゃんは誰が見てもお似合いのカップルで、理想のカップルだったと思う。


私自身、風香さんには敵わない、って尻尾を巻いて逃げていたんだもの。


あっちゃんに告白する、って決めてはいたけれど、こっちゃんの言うように風香さんからあっちゃんを奪い取るなんて、夢にも思ってなかった。本当に、思ってなかったんだよ。


私はどう頑張ったって風香さんに敵うハズないんだもん。あっちゃんが私を選ぶハズなんて、きっとない。どう頑張ったってありえない。


だから……自分の気持ちを伝えて、それでおしまい。


――この恋は伝えるだけで、おしまいにしてしまおう。



そう思っていたのに……

「とにかく、今は目の前の受験に向かって頑張ろうぜ。うん…、そうだよ。アツはきっと受験でキリキリしてるだけだって。」


こんな言葉を聞いたら期待してしまう。



もしかしたら………
私にもチャンスがあるんじゃないか、って。


バカな私は、甘い期待を抱いてしまう。