夕凪に映える月


後ろを振り返ってみたり
あたりをキョロキョロ見渡しみたり、意味不明な私の行動をみて不思議に思ったんだろう。


「何キョロキョロしてんだ?」


こっちゃんは不服そうに私にポツリと問いかける。



「いや…、なんか視線を感じたんだけど…気のせいだったのかなぁ…。」



周りを見渡してみても、どこの誰とも視線が合わない。知り合いもいない。


うーん…
気のせいだったのかなぁ。



気を取り直して、こっちゃんに向き合って、お母さんお手製のお弁当をパクパクと食べ始めていると


「アツ先輩だったりして。」


意地悪な目をして、こっちゃんがニヤリと微笑む。


「そんなことあるわけないでしょ?」



この視線の犯人があっちゃんだったとしたら……私に話しかけてくるに決まってるもの。


こっちゃんはかわいい後輩
私は親友の妹


遠慮してる方が変だよ。



クスクス笑ながら、こっちゃんの言葉をはねつけてると


「いやー。わかんないぞ?」

「…え??」

「俺と凪紗は付き合ってる、ってウワサらしいからな。アツ先輩も気が気じゃなかったりしてー。」