夕凪に映える月



こっちゃんの言うコトはもっともだ。
せっかくあっちゃんの思考回路がおかしな方向に行ってくれてたんだから、今思えばチャンスだったんだと思う。


だけど……


「でも…告白したところであっちゃんには風香さんがいるわけだし……。不毛な恋愛には変わりないよ……。」


お母さんがお弁当に入れてくれたミートボールをつつきながら、フゥとため息を吐くと


「不毛なのは今だって変わらねぇだろうが。」


こっちゃんはこんな身もフタもない一言を呟き始める。



「凪紗は風香先輩がいようといまいとアツ先輩が好きなわけだし??卒業式の日に告白する、って言ってたけど風香先輩はもれなくついてくる話だろうし??彼女がいる人を好きになってる、って事実はどっちにしたって変わんねーじゃん。」



――う…!
この人はまた人の心を抉るような一言を…!!



こっちゃんの淡々とした冷静な一言にグサッときてると


「結局オマエはズルいんだよ。」

「…え??」

「自分の気持ちは伝えたい。でもこの関係も崩したくない。妹でいたいくせに、恋人にもなりたい。んで、都合のいい時だけ風香センパイをダシにして、自分の意気地のなさの言い訳にする。
結局……何がしたいんだよ、凪紗は。」


こっちゃんはいつになく厳しい表情で私を見つめる。