夕凪に映える月



ーーしまった!!


気づいた時には、もう遅い。



お兄ちゃんだなんて思ってもないくせに、売り言葉に買い言葉で自分の口から飛び出したとんでもない一言。


『卒業式の日に告白する。』


こっちゃんにそう言ったくせに、どこまでいっても負け犬根性から抜け出せない私は、いつものようにこんな悪態をついてしまった。



表情を固まらせたまま、足を止めた、あっちゃん。



ーーダメだ!このままじゃダメになる。



直感でそう思った。



この誤解を解かなきゃ、私とあっちゃんはダメになる!!


どうせ卒業式には告白するつもりだったんでしょ?凪紗!


それなら…今告白しても、後で言っても同じことなんじゃないの?!


よし……言おう。
変な方向に話が行くぐらいなら、今玉砕しちゃった方がマシじゃない?!


腹をくくって
ハァと深く深呼吸して
意を決して


「ごめん、あっちゃん…!
私…私ね…??!」


誰より好きな
大好きな彼の名前を呼んだ時。



「あ〜…、ごめんな、ナギ。
お兄ちゃん、過保護すぎたな。」



そう言って
あっちゃんはいつものように、エヘヘと笑った。