澪ちゃんに別れを告げてから、俺は部活に行く気も起きなくてベンチで仰向けに寝ていた。

今日は雲ひとつない晴天。

陽がポカポカと暖かい。



「おい、サボリ」



そう言って歩いてくるやつがいた。



「うるせーよ、春斗…」



見なくてもわかる。

コイツは俺が落ち込んでるときは必ずやってくる。

春斗が隣にあるベンチに寝転がった。



「…俺…やっぱ格好悪…」



そう言って空を見上げた。

すこし、歪んでいるように見える。



「…なんで譲ったりなんかしたんだよ。本気で好きだったんだろ?」



春斗が俺に聞いてきた。

きっとコイツは全部知ってるんだろう。



「あぁ、本当に好きだった。でも…きっと俺は澪ちゃんを幸せにできない。」



「そんなのやってみなきゃわかんないだろ?」



春斗は起き上がりながら言った。



「わかるよ。澪ちゃん、アイツといるとき、本当に幸せそうなんだ…。それに…」



「…それに?」



俺が寝ているベンチの近くまで来て春斗は俺を見た。



「それに、アイツ。須藤はマジでいいやつなんだ。本当に澪ちゃんのことを大切にして
いて…。そんなヤツから澪ちゃんを奪ったりなんかできなかった…」



そう言ったとき、おでこに衝撃が走った。