2013年11月


あれから2日後、あたしは圭先輩に呼び出された。

あんな姿を見せてしまってから初めて先輩と会うからちょっと緊張する。

放課後、先輩に言われたとおり中庭に来た。

運動場では野球部やサッカー部が部活の前のウォーミングアップをしているのが目に入
った。



「先輩?」



中庭にあるベンチに腰掛けて下を向いていた先輩に声をかけた。



「澪ちゃん、急に呼び出してごめんね」



「い、いえ」



あたしは先輩の隣に座った。

少しの沈黙の後、先輩は口を開いた。



「…仁菜、学校辞めたよ」



「え?」



先輩のいきなりの言葉に驚いた。

そして思った。



「あ、あたしのせいで…?」



そう言うと先輩は首を横に振った。



「澪ちゃんのせいじゃない…父親の都合でもうすぐ転校する予定だったんだ」



「…そう…なんですか」



それを聞いて少しホッとしたように感じた。