ある日、俺が学校から帰ろうとしたら靴箱のところで澪を見かけた。



「やーい。転校生!お前お父さんいないんだろ~?」



「かっわいそ~!」



同じクラスの健太と慎吾が澪をからかっていた。



「や、やめてよ!お母さんはいるもん」



澪は必死に答えているけど今にも泣き出しそうだった。

やっぱり俺が思ったとおり、泣き虫だな。



「でも母さんもほとんど家にいないんだろ?」



「一人ぼっちでそうやって泣いてるんじゃねぇの?」



そこまで聞いて俺はその2人の方に向かった。



「いや、やめて…」



「おい、やめろ」



そう言って俺は健太と慎吾の腕を掴んだ。



「…玲次…君」



澪は瞳にいっぱい涙を溜めて俺を見た。