2013年11月



「ま、またかぁ」



そう言ってあたしは自分の生物の教科書を開いた。

そこにはマジックでぐちゃぐちゃに落書きされていた。

最近こういうちょっとした嫌がらせみたいなのが続いている。

先週くらいから下駄箱に毎日のように手紙が入れられる。

『圭と玲次の二股ゆるせない』とか、『圭と早く別れて』とか、『二股サイアク女』とか書いてある。

やっぱり先輩も玲次もモテるんだなぁ~と改めて実感した。



「みーお!…ってどーしたの!?この教科書!?」



後ろからたまたまやって来た葉月に教科書を見られてしまった。

まずいっ!と思ったときにはもう遅かった。



「う~ん。なんか…いやがらせ?」



そう言ってあたしは教科書を閉じて机の中にしまった。



「え?いつからそんなことされてるの?」



葉月が心配そうに聞いてくる。

あぁ、そんな心配そうな顔させたくなかったのに。



「ちょっと前からかな?でも全然大丈夫だから!」



そう言って葉月に笑顔を見せた。