2013年9月


夏休みも開けて数日たったある日曜日、あたしは一人で買い物に来ていた。

おばあちゃんとおじいちゃんからもらったお小遣いで、前から欲しかったワンピースを買いに来たのだ。



「買っちゃったぁ~♪」



鼻歌を歌いながら街中を歩いていると、見覚えのある人が高そうな洋服のお店から出てきた。



「…あれ?圭先輩?」



なんと先輩がお店から出てきた。

でも、隣にいるのは…。



「…え?」



先輩の腕に自分の腕を回している黒くて長い髪の女の人が目に入った。

しかも、すっごい美人で背も高いし、スタイルもいい。

あたしは思わず目を擦った。

いや、見間違いでしょ。



「ねぇ、圭。次はあっち~!」



「くっ付くなよ。サキ…」



…サキ?

先輩はその女の人に引っ張られて行って人ごみの中に消えた。

確かに今、『圭』って呼んだよね…?

あたしはその場で立ち尽くしたまま動けなかった。