あたしは高岡先輩と戸川神社のお祭りに来ていた。



「澪ちゃん!こっち!」



「あっ!せんぱ…っっ!!」



あたしは目を見開いた。

だだだって、私服で行くって言っていたのに…。

先輩は浴衣を着ていた。

黒寄りのグレーで、よく見ると縦に線が入っていて、とてもお洒落なデザインだ。



「澪ちゃんは浴衣姿もかわいいね」



先輩はすこし照れたようにそう言った。

そんな姿も今日は浴衣だからか色っぽい。



「せ、先輩もカッコイイです。浴衣着たんですね」



「春斗がな、祭りには浴衣だ~ってうるさくてな」



そう言って笑った。

春斗先輩ナイスです!

あたしは隠れてガッツポーズをした。



「じゃあ行こうか」



そう言って先輩は左手を差し出してきた。



「え?」



思わず先輩を見つめた。



「あ…ほら。人がいっぱいいてはぐれると困るから」



そう言って照れたように頭を掻いた。

あたしもかなり照れたけど、そっと自分の右手を先輩の左手に重ねた。