「うわぁ!今のシュートすごかったね!あれ、鳥居君?」



今、一緒のクラスの鳥居君が豪快なシュートを決めた。

鳥居君とは掃除場所が一緒で何回か話したことがある。

少し背は低めだけど、たれ目でとても優しそうな人だ。



「クラスだとあんなに地味でチビなのに、やっぱ運動やってるとかっこよく見えるね!」



隣では葉月が毒舌を吐いていた。

まぁ、面食いの葉月にとっては鳥居君はそう見えていたのだろう。

そのときあたしの頭になにかが飛んできた。



「イタッ!」



振り向くと、紙くずが落ちていた。



「もしかして…」



頭をさすりながら上を向くと、予想していたようにヤツがいたのだ。



「やっほー!」



片手を挙げてニヤニヤと手を振っていた。



「ちょっと玲次!今の結構痛かったんだけど!」



ちらっと当たって落ちた紙くずを見た。

だって普通の紙じゃなくて厚紙だよ?

それを丸めて投げるなんて信じられない。



「お前の石頭じゃ痛いわけねぇだろ?可愛い子ぶるな。きっもーい!」



そう言い残して渡り廊下を走って行った。

あたしの怒りボルテージがMAXを超えた。



「れ~い~じぃ~~~!!!」



そう言ってあたしは玲次を追いかけた。

葉月はやれやれという顔をしながらあたしと玲次を見て笑っていた。