「澪…。玲次は、優しいやつだよ」



つい、口に出てしまった。

あっと思ったときにはもう遅い。

澪がビックリした顔であたしを見ていた。

そして言った。



「…それは十分わかってるよ。あたしがここまで元気になったのは玲次と葉月のおかげげ」



そう言って澪は少し目線を下げて水ようかんと食べた。

あぁ、ごめん。

思い出させちゃったかな。

昔のことを…。

澪の消えない過去の出来事を…。

そう思ってあたしは急いで話題を変えた。



「あっ!部活終わったらサッカー部見に行こうよ!」



そう言うと澪は笑顔で『うん!』と言った。




そして今、あたし達はサッカー部の練習を見に来ている。



「あ~!!春斗先輩おしい!もうちょっとでゴールだったのに!!」



「でもやっぱ春斗先輩と高岡先輩は息がピッタリだね」



そう言いながら隣にいる澪は高岡先輩に釘付けだ。

まぁ、澪が幸せならいいんだけど。

その代わりもう1人のあたしの親友が、傷ついてるなんて…。

神様はどうしてそんなに意地悪なの?

2人も幸せになれる方法はないの?

そう思いながら先輩達の練習を見ていた。