行ってきますと言った後の玲次の顔が忘れられない。

なんであんな辛そうな、悲しそうな顔をしたの?

ねぇ、どうして?

最近、玲次のあの顔をよく見る気がする。

そんなことを考えながら、先輩と待ち合わせをしている場所へ急いだ。



「高岡先輩!」



あたしが行くとすでに先輩はいた。

ニコニコ笑いながら手を振ってくれていた。



「ごめんなさいっ!遅れちゃいました!」



「いや、まだ約束の5分前だし、俺が早く来すぎたの!」



そう言って先輩はポケットに携帯をしまった。

やばい…先輩の私服姿初めて見たけどカッコイイ。

細見のデニムに、夏っぽい青いチェックのシャツを羽織って、下に着ている白いVネックからのぞく鎖骨が色めかしい。

ってなに考えてるんだ自分!!



「澪ちゃん、私服姿かわいいねぇ」



突然先輩があたしを見て言った。

かかかかかわいい!!??

ボンっとあたしの顔は真っ赤になった。



「せ、先輩こそカッコイイです…」



語尾が小さくなりながらも精一杯言った。



「澪ちゃんに言われると照れるよ。じゃあ行こっか」



「はい!」



そう言われてあたしの初デート(本番)は始まったのだった。