2013年6月



ガチャっ



「玲次!この格好おかしくない!?」



そう言って澪が俺の部屋に入ってきた。

ついに、高岡とのデートの日が来てしまったのだ。

先週とはうって変わって澪はデートっぽい格好をしていた。

ピンク地に赤いの花がいっぱい散りばめられたようなワンピースに、白いレースのボレロ。

まさにデートだ。



「ふんっ!お前が着る服が可哀想だ」



ホントは鼻血が出そうなほど似合っていたが、悔しかったので意地悪を言った。



「ムッカツク~!!このやろ~!!」



澪が俺に襲い掛かってきた。

仰向けで寝転がっていた俺の上に乗って、ほっぺを伸ばしてきた。



「いてて…」



ホントにコイツは喧嘩のときの力が強い。

俺は澪の手を掴んで自分のほっぺから離させた。



「…嘘、かわいいよ」



そう言うと澪は顔を真っ赤にして俺の上からどいた。



「圭のとこなんて…行くなよ」



「え?」



俺がボソッと言ったのが澪に聞こえてしまった。

や、ヤバイ。

つい本音が口に出てしまった。



「いや、なんでもない。ほら、時間大丈夫か?」



「あ~!もうこんな時間!!」



澪はバタバタと自分の部屋にカバンを取りに行った。

なんとかごまかせたみたいだ。



「気をつけて行けよ」



「うん!行ってきます!」



そう言って澪は俺に手を振った。

自分の好きなやつを、他の男のとこに行かせるのはやっぱり辛いな。

そう思ったけど、無理やり笑顔を作って見送った。