しくじった…。

澪だけ恥をかかせるつもりだったのに、なぜか俺まで呼ばれてしまった。

しかも、彼氏さんもどうぞって……。

あの調教師の人、いい人だ。

そんなことを思いながら澪と他の子供たちとステージにあがった。

説明を聞いて、俺らは順番を待っていた。



「ちょっと彼氏さん、いいですか?」



俺は調教師の人に呼ばれた。

俺だけ?



「は、はい?」



調教師の人の傍まで行くとニヤニヤと笑っていた。



「君たち、まだ付き合いたてだね?」



いやいや、付き合ってねぇけど。

でも説明するのもめんどくさかったから適当に答えた。



「じゃあさ、イルカが彼女さんのほっぺにチューするとき、左から君がチューしてくれる?」



「……は?」



一瞬意味がわからなかった。

調教師の人はニヤニヤ笑っている。



「頼んだからね!」



そう言って俺の肩を叩いた。

ちょ、ちょっと待て…澪のほっぺにチュー…。

考えただけで俺の顔は真っ赤になった。